レポート
Japan, Asia-Pacific

気候レジリエンスの高い自治体を目指して

CDPシティ: 日本自治体の取り組み

気候変動は様々な分野へのリスクを生じ、市民のインフラや生活、場合によっては生命を脅かすことを日本自治体は認識しています。一方で、温室効果ガスの排出量を削減し、脆弱性を減らす行動は、気候変動対策としてのベネフィット(便益)だけでなく、地域の発展や市民のウェルビーイングなど様々な分野での複数のコベネフィットおよび機会ももたらすことも認識され始めています。

CDPが本日発表したレポート「気候レジリエンスの高い自治体を目指して」では、これまでの日本自治体のCDPシティ報告結果を分析するとともに、CDPシティに報告された内容を基に、ゼロカーボンシティをめざしてレジリエンスを高める日本自治体の事例として、飯田市、今治市、小田原市、開成町、鎌倉市、北九州市、さいたま市、富山市、姫路市の事例を紹介します。

世界全体で1.5℃目標達成への道筋を確認し、その進捗を管理するには、世界の自治体が同じ基準で環境の影響を測定し情報開示していくことが重要になります。先進国である日本の自治体は、国内だけでなく国際社会への説明責任を果たすことが益々期待されています。2021年には189の日本自治体がCDPシティを通じた環境情報開示を行い、国別で日本が世界最大の自治体開示数を記録しました。

最も影響を受ける気候ハザードとして一番多く日本自治体から報告されたのは豪雨で、続いて猛暑でした。気候変動への自治体の対処能力に最も影響を及ぼす要因として最も多く挙げられたのはインフラのキャパシティ及び条件であり、道路、建築物、上下水道を始めとする各種公共インフラの適応や、省エネ化や再生可能エネルギー能力増強の実施/進捗が、自治体が気候変動対策を進めるうえでの重要な要因となることが報告されています。また、日本自治体が実施する多くの適応策において人々の健康や生活の被害を最小限に抑えることが主流化されていることが示されています。

また、日本自治体は緩和策、適応策による経済、災害レジリエンス、健康などの分野におけるコベネフィットも報告しています。気候変動対策のコベネフィットに関するデータを収集することは、どの対策が最も有益な結果をもたらすかを検討し、進捗を追跡し、意思決定者やステークホルダーに対して気候変動対策の説得力を高めるためのエビデンスを提供するために重要です。

CDPシティは、自治体が環境の影響を明確に把握し、果断に行動し、変化を生み出すためのツールであり、包括的な環境情報開示は、自治体が将来世代を守るためのレジリエンスを構築し、アースポジティブな決定を下すことを可能にします。CDPは今後も世界の自治体の環境情報開示を支援し、日本自治体とも持続可能でレジリエントな未来に向けて協働できることを期待します。

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