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金融セクター向けウォーター・ナレッジハブ
このナレッジハブは、金融機関を対象として、水セキュリティ情報開示におけるファイナンスに焦点をあてています。このハブでは、サステナビリティを追求する金融機関が水リスクや機会を評価する上で役立つ情報やリソースをまとめています。
リスクの対象
問題点
水リスクによる財務的影響の可能性 $531,058,809,825.
この推計は、2023年のCDP水セキュリティ質問書に対する回答に基づいています。企業922社が、水リスクによる潜在的な財務的影響額と、そのリスク軽減のためのコストについて回答しました(出典:CDP2023年開示データファクトシート)。
地球環境の危機は水資源の危機でもあり、金融機関にも目に見える影響をもたらしています。嵐、洪水、干ばつにより、2050年までに5兆6,000億米ドルもの経済的損失が発生する可能性があります(出典:CDP Financial Institutions are Valuing Water)。水リスクのために、エネルギーおよび鉱業セクターではすでに150億米ドルもの資産が座礁資産となっているか、危険な状態にあります(出典:CDP 水問題による座礁資産)。また、サプライチェーン全体もリスクにさらされています(出典:CDP Global Water Report 2023 - グローバルウォーターレポート2023)。
財務的なリスクのみにとどまらず、水資源は、ダブルマテリアリティの観点からも重要です。すなわち、自然がビジネスに与える影響と、その逆の、財務的な意思決定が水資源の循環に与えるインパクトの2つの側面があります(出典:CDP Finance Water Action Pathway - 金融と水資源に関する行動指針)。
CDPが金融機関の経営層に向けて新たに作成した資料、水資源の危機に注意を払うべき理由をご一読ください。
台湾の半導体大手、UMC社による水資源の危機への取り組み
半導体製造業は、大量の水を使用します。また、2024年の売上高は6,020億米ドルに達すると予測されており、特にアジア地域に重要な地政学的影響をもたらすと見られます。一例として、2021年に台湾では、過去50年以上で最悪の干ばつが発生しました。
1980年の創業以来、UMC社(聯華電子)は、台湾の半導体業界をリードし続けています。
こちらの動画では、副社長のTS・ウー氏が、UMC社では水資源のリスクにどう対処しているかを語っています。
CDPの取り組み
現在の状況
CDPは、世界初となる水資源に関する金融セクター向け質問書を作成し、2022年に最初の調査結果を発表しました。そのデータからは、水資源に関するリスクが金融セクターでは依然として優先順位の低い課題とされていることが明らかになりました。
水の課題に取り組むことによる機会が見出されているにもかかわらず(出典:CDP Global Water Report 2022)、 CDPが2023年に実施した、275の金融機関を対象とした調査によると、金融機関の中で水リスク評価を行っているのは3分の1のみでした(出典:CDP Financial Institutions are Valuing Water)。
金融セクターウォーターアクションプラットフォーム(出典:CDP)も、CDPに対して情報開示を行った金融機関についての洞察を提供しています。2023年には、350の金融機関がCDPを通じて情報開示を行いました。
情報開示の重要性と利用可能なガイダンス
気候変動に関する情報開示が広く普及した現在、自然や水に関連するリスク情報の開示も、あらゆる組織のサステナビリティ施策において重要な要素として急浮上しています。欧州サステナビリティ報告基準の水と海洋資源基準(ESRS E3)には、水の消費量と水のリサイクル・リユース、および海洋生態系への重大な悪影響に関する言及が含まれています。
自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は、自然関連の情報開示についての提言やガイダンスを策定しています。このトレンドを裏付けるような形で、CDPは2023年に、質の高い情報開示義務化に関する10原則を発表しました。
CDPが2023年に発表したFinance Water Action Pathway(金融と水資源に関する行動指針)は、金融機関にとって初の水資源に関するアジェンダです。
アクションに向けて
ウォーターウォッチ・インデックス
CDPのインデックスでは、13の異なる産業セクターにおける200種以上の産業活動を、水資源への潜在的な影響度に応じてランク付けしています。
CDPキャピタルマーケッツ
CDPのキャピタルマーケッツ署名機関との取り組みをご紹介します。
CDP質問書
ステークホルダーが自らの影響を測定し、リスクと機会を管理し、透明性をもって進捗状況を報告し、積極的な行動を約束するために、統合された質問書についてはこちらをご覧ください。
脚注
1. 「Nature-related Financial Risks: a Conceptual Framework to guide Action by Central Banks and Supervisors」(自然関連の金融リスク:中央銀行および監督当局の行動指針となる概念的なフレームワーク)、気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク)
2. 「Assessing the Materiality of Nature-Related Financial Risks for the UK」(英国における自然関連の金融リスクの重大性の評価)、グリーンファイナンス機関